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山中俊治の「デザインの骨格」 - ゾンビが不気味なのは、ゾンビが少数派の間だけ
先日、ジェミノイド(別名コピーロボット)の開発で有名な大阪大学の石黒浩教授とトークショーを行いました。
石黒さんは、メディアのどの写真を見ても黒い服で写っています。「いつも黒を着ていらっしゃるので、私は白にしました」とご挨拶をした所、「服装は他人が最も認識しやすいアイデンティティじゃないですか。それを変えようとする理由がわからん。」といきなりがつん。
“これも私と認めざるをえない”展の一角に設けられた特設会場は大盛況でした。以下に印象に残った石黒さんの言葉を拾ってみます。
* 人間は自分の事を他人ほど知らないんですよ。
* 我々と自分の体とのつながりなんて、わずかなものです。呼吸したり歩いたりしていても、体が勝手にやってくれているのを時々確認してるだけじゃないですか。そんなもの機械に置き換えられるに決まってます。
* 私はロボットを操っていると思ってる。でも思ってるだけで、私も何かに操られてるかもしれない。私を動かしているものは結局環境からのインプットだから。
* けしからん事に誰もジェミノイドを送り込んだ会議に出張費を払ってくれない。生身の私が来ないとダメだというけど、今まで私に脳があるか、内蔵があるかなんて確かめた事ないじゃないか。
* 不気味ですよね。でもあなたがこれを人だと認めているから不気味なんですよ。
* ロボットが人間そっくりになる前に、人間の定義が変わってしまうんじゃないでしょうか。ゾンビを不気味だと思うのはゾンビが少数派の間だけで、みんながゾンビならそれが人間ということになります。
* ジェミノイドは、人よりも人間らしく死にます。
* ロボットの表情が本物ほど豊かじゃないというのは間違いです。お金と時間さえあれば、人より遥かに表情豊かなロボットを作ってみせます。
* コンピュータは信号をクリアにしようとするから莫大な電力を必要とする。脳はノイズをノイズのままで有効に利用するから,あんなに効率がいい。
* 科学者には「倫理」はないです。科学の成果はいつも二つの面がある。原子力は人を殺すし,電気も作る。それをどう使うかは社会に依存していて、全く新しい技術がどう使われるかなんて事が分かるはずがない。それを予想して一々歯止めをかけたら何も進まなくなる。倫理などと口にする科学者は本物じゃないと思います。トークショーの間、私はメモを取ることができなかったので、上の語録には記憶違いがあるかもしれません。参加した方のコメントによる指摘歓迎です。
ロボット工学には「不気味の谷」という有名な言葉があります。人型のロボットは、人に似れば似るほど不気味になってきて、人と区別がつかなくなる直前には深い谷があるというものです。石黒さんは「人が人と認める要素」を確かめながら、正面から「不気味の谷」を渡ろうとしています。「もう一番深い所は超えました」とおっしゃる石黒さんの力強さが印象に残った対談でした。
(via ishibashi)